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10/21 BLACK GANION & BRAINOIL JAPAN TOUR 2018 @新大久保EARTHDOM

10/21 @新大久保EARTHDOM
“BRAINOIL + BLACK GANION Japan Tour 2018”

◾︎BRAINOIL(USA/OAK)
◾︎BLACK GANION
◾︎FRIENDSHIP
◾︎coffins
◾︎ENDON

ADV/DOOR
OPEN/START
TBA

【BRAINOIL】
安易に音楽と“土地柄”を紐づけて言及する行為は、時に植民地主義的な論調や土地差別になりかねないが、そうとしか説明し難い土地は少なからず存在する。1960年代にTHE KINGSMENがロックンロール・クラシック「Louie Louie」のヒットを放ち、70年代にはTHE RAT$、80年代にはFINAL WARNINGやPOISON IDEA、WIPERSを生み、90年代のライオットガールズたちを支え、今なおUSパンクの聖地と名高いDIYシティ、オレゴン・ポートランドはその典型だろう。そこから約1,000km南へ下ったベイエリア屈指の港湾都市・オークランドは、約10kmしか離れていない“サンフランシスコとは違う”という意味において、ポートランド以上に強烈な“土地柄”を滲ませる街だ。デトロイトに次いで暴力犯罪率の高いクライムシティとして悪名高く、貧困率も高いが、裏返せばサンフランシスコに住めなくなった人々を受け入れる包容力を伴った土地ということでもある(かのアルカトラズ島が、パノプティコンの如く両都市を一望できるサンフランシスコ湾内に位置する事実はあまりに象徴的に思える)。BRAINOILは、その街の2000年代を代表するパンクロック・バンドのひとつだ。

オークランドの特異性は、同地最高峰のパンク・レジェンドNEUROSISの存在感が端的に示しているが、ABSTRACTER、ASUNDER、BORN/DEAD、LAUDANUM、NOOTHGRUSH、ELDOPA、SKAVEN、STORMCROW、STRYCHNINE、TØRSÖなどの名を挙げればより特徴が掴み易いかと思う。要約すれば、スタイルが似通うバンドが異常に少ない。御大DEAD KENNEDYS、CHRIST ON PARADEや、AMBER ASYLUM、ARTIMUS PYLE、DYSTOPIA、MINDROT、PLUTOCRACYといったサンフランシスコの異端バンドと共振しながら、伝説的な近隣バークリーの924ギルマン・ストリートを中心に醸成されてきたその気風を、(現在アクティヴのバンドの中で)最も色濃く受け継いでいるのがBRAINOILだ。LAUDANUM、STORMCROWや、ポートランドの名士Felix Havoc率いる(DISEMBODIEDのメンバーも在籍していた)DESTROY!、そして2000年代USドゥーム / スラッジ代表格GRAVES AT SEAなどで活躍してきた面々によるアンサンブルは、“ジ・オークランド”としか言い様のないスラッジ・パンク。しかしそれがガラパゴス的な生成過程ではなく、自発的な表現であることは、大規模レーベルCentury Mediaとの契約で場数を踏んでいるWATCH THEM DIE(ELDOPA、GRIMPLE、HIGH ON FIRE、WORD SALADのメンバーが在籍した)でも腕を揮うメンバーの在籍や、中心人物Greg WilkinsonがACEPHALIX、IRON LUNG、UNDERGANGからHIGH ON FIRE、OM、PALLBEARERまで(そしてもちろんBLACK GANIONも)手掛ける名エンジニアであるというプロファイルが裏付けている。

BRAINOILの目撃は、脈々と続くUS西海岸の異形エクストリーム・ミュージック・ヒストリーを紐解く行為とほぼ同義となるであろう。
TEXT:久保田千史 (clinamina)